【カンボジアの宗教と民族】カンボジアは仏教の国!寄進や托鉢:クメール農民の信仰生活

外国を旅行する前に必ず押さえておきたいのが、宗教民族の知識。どちらも非常にデリケートで、一歩間違えれば大きなトラブルに発展する可能性があります。

また、様々な民族が影響しあってきたために、とっても興味深くユニークでもあるんです。

今回はそんなカンボジアの宗教と民族について徹底紹介します!

カンボジアの宗教

多くの場合、日本人には特定の宗教に対する感情というのがありません。日本人の心の奥底には、どんなものにも神様が宿っているという考え方があるためにあまり意識しないのですね。これは世界的にもかなり珍しいと言われています

だからこそ、私たちが海外に旅行に出かけた時は、その国の宗教観に基づいたマナーに注意しなければいけません。だいたいの国には主な宗教というものがあり、とても熱心に信仰していることがほとんどなんですね。

それでは、カンボジアの宗教について具体的に紹介していきます。

多くの人はお気づきかと思いますが、メインとなるのは仏教です。仏教はカンボジアの人々の9割近くの人々に信仰されていて、皆とても熱心です。国の至る所に信仰の拠点となるパゴダや寺院が見られることからもわかりますよね。

そして少数民族の宗教もあります。厳しいカンボジアの環境の中で生まれてきた様々な信仰の形を学び取りたいものですね。

カンボジアは仏教の国!

古くはインドの多神教を信仰していた、カンボジアの主要な民族であるクメール人。農村を中心に雨季の厳しい環境に悩まされ続けてきた彼らは、「厳しい修行を積んだものは救われる」という思想が根底にある上座部仏教を信仰するようになりはじめます。

僧たちは厳しい修行を積みます。

1800年代後半からしばらくはヨーロッパ諸国の植民地となったものの、キリスト教へむやみに改宗させられるというようなことは起こらなかったため、仏教が根付いたまま失われることなく今日まで受け継がれてきました。

カンボジアでは寺院への寄進は最大の功徳とされているほか、托鉢も盛んに行われています。僧侶が修行の途中で街を歩くと多くの人々がやってきて僧侶の鉢に食べ物を入れていくというのはもはや日常のなんでもない一コマです。

托鉢の風景

カンボジアにおいて僧侶の存在は非常に高貴なものであるため、皆が尊敬し、畏怖の念すら抱いている、と語る人も少なくありません。

カンボジアの仏教、最大の危機!?

カンボジアの歴史を考える上で忘れてはならないのがやはりポル・ポト政権時代の話でしょう。数年のうちに文化人という文化人が処刑され、極端な共産主義思想に走ってしまった政権の負の遺産は、あまりにも有名です。

カンボジアの仏教はポル・ポト政権時代に「最大の危機」を迎えたと言っても過言ではないでしょう。都市部の仏塔や寺院が破壊されることも少なくありませんでした。その上、新しい仏教関連の建造物を作ることは政権によって禁止されてしまったのです。

破壊された寺院。

しかし、仏教関連施設があまりにも多いため破壊し尽くされずにある程度残存したことや、地方の施設は手をつけられずに残ったということもあり、完全な消滅はなんとか免れました。

カンボジア仏教の未来を担う若い僧侶たち。

現在では新たな仏教関連施設の建設が進んでいますが、その様子を眺める現地の人々の瞳は輝いています。

カンボジアで仏教の施設の建設が進むことは「平和」を意味するのだと、あるおじいさんが語っていたのが今でも印象に残っています。一度は危機を迎えたカンボジアの仏教。全身で感じたいですね。

クメール農民の信仰生活

「息子が東大に合格した・・・」日本だったら一家集まり朝までどんちゃん騒ぎ、朝が来るまでお祝いし、心の底から喜ぶというのがほとんどの家での風景になるのでしょうね。

カンボジアで「息子が出家して仏門に入る」というのは、さすがにどんちゃん騒ぎはしないものの、同じような気持ちだと、日本のことにも詳しいクメール人の友人は言います。

人々、特に不安の多い農民たちに救いの手を差し伸べる存在になるということは、クメール人の憧れであるようですね。

カンボジアのお祭りは出し物が大掛かり!

1年のスケジュールの中には多くの仏教に関連した予定や行事があります。農村の方面に出て行くと信仰の厚さを全身で体感できることでしょう。

また、仏教に関連した行事に外国人が参加できないということはありません。マナーを守れば、あなたもその一員になることは決して難しくありません。

威厳の中に幻想的な美しさがあります。

機会があればぜひ参加してみましょう!!

精霊信仰

日本人の自然に対する畏怖の感情は、世界でも有数のものだと言われていますが、カンボジアにおける自然信仰もまた非常に高度なものと言われています。

「あれ、カンボジアって仏教の国なんじゃないの?」と思った人もいるかもしれませんね。確かにそうです。

しかし、自然界には精霊が住んでいて彼らと対話することが可能であるという自然崇拝もかなり熱心に行われています。

様々なところに廟があります。

ここで気づくのが、「日本との共通性」です。

日本だってそうですよね、仏教を信仰しているという家がほとんどでありながら、全ての生き物には精霊が宿っていて感情を持っているといういわゆる「アニミズム」の考え方も同時に知っていきます。

日本も自然を祀ることは多いですよね。

日本人がカンボジアに行って考え方が似ているなあと感じる理由は、ここにあるのかもしれませんね。食べ物になる植物はもちろん、動物や石にまで精霊が宿っているとするカンボジアの考え方を見習いたくなることでしょう。

カンボジアの仏教のマナーは?

カンボジアの仏教は「上座部仏教」なので、決まりごとなどが厳しいです。行事などに参加する・しないに関わらず、国内での行動については常にマナーや決まりを意識する必要があります。

1 仏教関連の遺跡や施設に入る時は、必ず裸足になる

裸足にすぐになれないような、ストッキングなどの着用はおすすめできません。裸足にサンダルでもいいくらいです。最近では靴を脱ぐのみの指示が書かれているところをほんの少し見かけることもありますが、裸足になるという心づもりでいましょう。

2 肌の露出を極力控える

これは大人限定のマナーです。特に女性が肌を見せることは仏教でいいこととされていません。半袖はいたって自然な格好なので特に問題になることはないですが、ノースリーブの服などは明らかにマナー違反です。

3「頭」は神聖なものである

これはついつい忘れがちですが、絶対に守らなければいけないマナーです。

上座部仏教においては、ブッダの頭の上にある「光輪」に基づいて頭の上は非常に神聖な場所であるという考え方があります。頭を触る、頭の近くに侵入するというのは最大の侮辱とされているのです。

普段の位置付けがダウンタウンの浜田さんのようにツッコミ担当の人は、カンボジアというより東南アジア諸国で旅をする時はちょっと封印しましょう(笑)。

カンボジアの民族構成

カンボジアの民族構成は、とても一口で語り切れるものではありません。

ポル・ポト政権の大虐殺があってから、民族構成も大きく変わってしまったからです。ポル・ポト政権時代には都市部から人が姿を消してしまいましたが、もちろんのこと今では復活しています。今では、都市部において地方からの出稼ぎも増えたため、地方の民族の人口構成が絶えず変化しているのです。

各民族は平和に共存しています。

現在のところではクメール人が9割以上残りの1割をチャム人・華人、山岳民族・ベトナム人などのおよそ20の民族が占めているという状態です。

民族同士の大きな対立などは現在のところ見られていません。カンボジアにおいては宗教対立が少ないため、民族同士の対立も起こりにくいのでしょう。

カンボジア人(クメール人)

クメール人はカンボジアの民族の大多数を占めています。

ほとんどは農民であるため、川沿いの稲作地帯に住んでいるんです。特に地方部の農村では仏教の信仰が厚く、年間のスケジュールは仏教行事と稲作を中心に決めるという人も少なくはないと言います。

クメール人の小学生。

都市部で見る人のほとんどはクメール人ということになるでしょう。当然のことながら、話す言葉はクメール語ということになります。

チャム人

大昔にベトナムで栄えた国である「チャンパー王国」の子孫であると考えられているのが、チャム人です。

チャンパー王国は海洋貿易で非常に繁栄した国家だったため、チャム人もトンレサップ湖での漁業や、船の金属を作るための鍛治などを主な職業としているようです。ポルポト政権下では迫害され、人口が半減しました。最近では稲作などの農業も行うようになりはじめています。

ヒジャブを着用するチャム族の少女たち。

チャム人がクメール人と大きく異なるのは、イスラム教を信仰しているというところです。チャム人が多く住む地域に行くと、イスラム教のモスクなどが多く見られます。ポル・ポト時代にはチャム人のイスラム教も迫害されましたが、現在では復興を見せています。

仏教とイスラム教では聖地や経典が大きく異なるために、かえって対立は生まれにくいと聞いたことがあります。安心して旅行してくださいね。

カンボジアの少数民族

カンボジアの旅で欠かせないと言っても過言ではないのが、山岳地帯の少数民族です。インドシナ半島に太古から住む先住民であるため、山岳地帯のことを知り尽くしたスペシャリストだと言えます。

ここでは、山岳民族のうち、代表的なものを取り上げていきます。

スティエン族

スティエン族は、クラチェ州の南部からモンドルキリ州南部にかけての山岳地帯に住む民族です。

彼らは狩猟と焼畑農業の2つを主な生業としていました。ゾウの捕獲を得意としていた時期もあり、今でこそ聞かなくなってしまったものの、ゾウ使いとしての名も有名でした。カンボジアの少数民族には狩猟民族はあまりないので、かなりレアな存在です。

クイ族

クイ族は、カンボジアの中でも鉄鉱石の産地の近くに住んでいたことから、鉄の精錬に長けていました。鉄は非常に貴重な資源なので、カンボジア王室と深いつながりがありました。現在クイ族はクメール文化に溶け込み、多くが稲作に従事しているとのことです。

タンブーン族

ラオス、ベトナムと国境を接するラタナキリ州の山岳地帯を中心に居住し、焼畑農業に従事しているのがタンブーン族です。

タンブーン族は非常に熱心な精霊崇拝を行う民族としても知られています。近年では森林地帯での宝石採掘や、生ゴムのプランテーションで働くなど、焼畑農業以外のことに従事する人々も増えてきたようです。

まとめ

他にも多数の民族が見られます。少数民族が持つ独自の文化は、後世に語り継ぐべきものです。しかしながら近年では少数民族が住む自然豊かな地域にも、都市開発や工業化がの話が上がり始めているのです。

進歩していくことは大切ですが、そのスピードがあまりにも急すぎると環境が壊れてしまいますよね。いかにして文化を守り抜きながら発展していくのか、少数民族の住む地域を旅していると、人類の課題に気づかされます。